物語を、歴史を、運命を肯定するということ(雑感)/舞台『刀剣乱舞』維伝 朧の志士たち

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観た。初日観たの初めて!!!!!!!幕間含めて3時間15分くらい?平日18:30開演だった時点でなんとなくお察しの長さよ。それでも強烈に入り込んでのめり込んで感情を揺さぶられる物語の強さ。刀ステはおもしれえな!

いままでのシリーズは一応全部観てるんだけど、シリーズ間の辻褄とか伏線とかに気づけるタイプではないので、考察やらなんやらは識者に任せます。ここでは公演後に軽く識者と話して気づいたこととか、シリーズを通じての個人的な所感とかを残しておく。全然まとまりはない…そして考察じゃないけどネタバレはたぶんめっちゃします。

あ、そうそう。前提としてFGOの知識?経験?下敷き?がと〜〜〜〜〜〜ても役立ったのでありがとうディライトワークス&TYPE-MOON!!!!!!FGOの推しは龍馬です!!!!!!!帝都聖杯奇譚つーか、あの世界の龍馬と以蔵さんを前提にすると、「し、し、し、知ってるーーーー!」感ヤバい!帝都らへんが好きな人はぜひ今回の刀ステのライビュチケットを取ってください。開始10分で泣くぞ。そして今回の黒幕が…なことで、あの世界の以蔵さんが龍馬にめちゃ懐いてる(?)のも逆説的に納得…だってFGOの以蔵さんは対龍馬であんな感じじゃないですかあ…つ、つら〜…そんでFGOの龍馬が特異点の「抑止力」として登場するのもまた、また、ね!!!ゲキアツじゃない!?だって今回の刀ステと真逆なのに、全然キャラブレがない!!!!日本人マジ信長と龍馬に夢見てる!!!わかるで!かっこいいもんな!こういう心がまた信長なり龍馬なりの物語を生んでしまうんだな…

 

そもそもFGOの英霊システムは刀ステの刀剣男士を解釈するにあたり参考文献すぎる。今回は特に。だって英霊たちの性格や特性の根拠となるのは、まさしく彼らが「語られた」「物語」であるからして。サリエリの英霊の特性は「モーツァルトを殺した」という人々の噂から生まれた、みたいな話だったよね全体的に。

そんで今回、私がなぜ刀ステをおもしろいと思い、ある種のカタルシスを感じるのか、ということがちょっとだけわかった気がする。それにはまず私個人の前提を説明しておかなければならないのだが、私は実存主義と呼ばれる思想がとても好きである。卒論もニーチェで書いたし。実存主義とは何かというと、(私も詳しいわけじゃないから超さらっとしてますが)、つまり「実存は本質に先立つ」ということですね。「人は女に生まれるのではない、女になるのだ」。意味があって存在するのではなく、存在してから意味が生まれるのだ、と。私は「私が、いま、ここにいる」ということを前提としているこの思想が好きなんだよねー。私が存在する意味なんて見つかるわけないから、「私がいま、ここにいる」ことくらいは信じたいんですね。そうじゃないと死にたくなるでしょ。これはニーチェの「運命愛」にもつながる概念だったりする。たとえ永劫回帰する世界(あっ…円環…)が救いがたく悲劇的だったとしても、それでも愛して肯定する!というのが運命愛。私はこの発想が大好きなのだ。

なんでそんなことを言い出したかというと、刀ステは「自分の運命=物語=歴史を肯定する」というのが大事なテーマなんじゃないかなと思ったからです。それは刀剣男士も、歴史上の偉人たちも同じこと。刀剣男士であれば、文字通り自分を形作る「物語」を(否定せずに)肯定することが、そのまま自己肯定につながるわけよ。これまで出てきた刀剣男士みんなそう。今回ならむっちゃんとか肥前くんとか顕著でしたね。坂本龍馬が死ぬという物語を肯定する。人斬り以蔵の生き様を肯定する。肯定することで自分(自我と言い換えてもいい)を保てる。

そして個々のキャラからもう一段階上のレイヤーで見ると、この世界の「正しい歴史」という物語を肯定することが、刀剣男士の存在を肯定することにつながるんですねー。やばい眠くなってきた、何書こうとしたんだっけ。うまく説明できないんだけど、運命とは物語、物語とは歴史、歴史とは運命、みたいな、微妙に違うが本質は同じ概念が全部数珠つなぎになっていて、結局は「自分を肯定するための戦い」を描いている作品なんだろうな〜と思いました。それは刀剣男士も歴史上の人物も、歴史修正主義者だって同じかもしれない。

そういう意味で今回の龍馬はすごい。自分の死=運命をすんなり受け入れた偉人初めてちゃう!?みんな悲願とか無念のために歴史改変したのに、そして正史(自分の運命)を肯定するまでにめっちゃ大騒ぎするのに、龍馬は「友達死んじゃうの嫌だ」で歴史変えちゃう。しかも「みんなが平等で平和な世界を作る」っていう軸は朧の世界線でもブレない。それが本懐の達成につながるから、「自分が非業の死を遂げる」という運命、歴史、物語を肯定できる。「自分のために」じゃなくて「世界のために」の人が起点になるとこうなるのか…!っていう!そしてその物語、その歴史がむっちゃんの運命をつくるんですよ…だからむっちゃんは龍馬を斬れるんですよ…すげ〜〜〜〜入れ子構造!考えれば考えるほど一本筋の通ったテーマでビビる!!!!すげえ!!!!!好き!!!!

まあ実存主義とまではいかなくとも、「在る」とは何か、というのは明確なテーマなのだろうなあ。それは刀剣男士がモノだから際立つテーマですね。人間でそれを考えようとすると、ほら、なんか…大変じゃん。だめだな、ここから先はちゃんと勉強しないと発展しない。サルトルとか読むか…(私は何の話を…?)

ともあれ、私が漠然と刀ステを好きなのは、常に「自分を肯定する」というテーマが流れているからなんだろうなあ、と思いました。うむ。

以下、どうでもいい覚え書き。

  • この舞台、むっちゃんの蒼木くんが倒れたらすべてが終了する舞台…マジで怪我病気には気をつけてマジで…マーベラスは全力で蒼木くんを守って…
  • 相変わらず刀持ったままバク宙?するのちょっと意味がわかりません すごい
  • 以蔵さんの処刑とか龍馬が手紙読むとかもうそういうの、ダメ、ダメです!!!(泣きながら)
  • 間組がもう明らかに異常に良すぎて、序盤鳥肌止まらん すごい
  • 音楽がかっこよくて最高最高!サントラ欲しい!ジャズ!やっぱり西はブラックミュージックなんだな〜
  • あの、円環に関しては、その、なんていうか…識者にお任せします…
  • 鶴丸と小烏丸さんが密命とか言い出した時点で悪い予感した
  • 密命の内容はそんなに不穏じゃなかったけどそれどころじゃないっていうか、マジで、何!?刀ステっていつ終わるん!?逆に次回作ですか!?
  • 久々染谷鶴丸大ハッスルの巻。小烏丸さんとシンメになる鶴丸は染鶴じゃないと無理ですね…(個人的に声と殺陣は健人くんのほうが合ってるかなーとも思いつつ。若さのパワーがね…)
  • 兼さんとても声がよい。2、3回大胆に噛んでて微笑ましかった。緊張するよな、頑張ってな…
  • 櫻井圭登さん超〜〜〜〜〜いい〜〜〜〜〜さすがあんステでひとりRa*bitsやってた男は度胸が違う!!!
  • 2.5次元の小劇場俳優って感じの佇まいになってきましたね…シブゲキや新宿FACEでおなじみの俳優はひと味違うぜ…
  • 南海先生かわいい。すごい難しくてクリティカルなこといっぱい言ってた。私たぶん半分くらいしか理解できなかった。あと殺陣のときめっちゃ御御足見た
  • 真剣必殺のBGMにまたクセがあったw頭をよぎるチャチャチャ(ジョ伝)
  • エンディングの曲なんであんなに不穏な曲調????????!!!?!?!?!?!?本編BGM超〜かっこよかったからイケイケジャズで来ると思ってたんですけど???????
  • 物語としてはすっきりまとまってるし、龍馬とむっちゃんもキッパリスッキリしててカタルシスあるのに、ちょいちょい挟まれる不穏がインパクトありすぎ
  • 三日月???????円環?????朧??????探してる?????何!!!?!?!?!?!??????
  • 初日スタオベすごかったなーーーーいやする、あれはスタオベする。蒼木くん、マジですごい。本当身体には気をつけて…
  • 明らかに殺陣が多く、登ったり降りたりの動きも多く、あれを1日2公演やると思うと頭が上がりません

今度は12月下旬にもう1回観ます。つぎはもうちょっと解像度を上げて観られるといいなあ!長期公演ですが、無事に走り抜けられますよう!