Mステで令和の「男子」たちを見た

ゼロ年代の嵐が築き上げた「半径2キロの世界で生きる男子(男、ではないのがポイント)」というイデア、2020年バージョンはおまえらなのかよ!?という衝撃。Mステ9月4日のCreepy Nuts×菅田将暉「サントラ」が最高だった話をする。

私は別にANNリスナーでもなく、けどまぁクリーピーの曲はうっすら聞く、松永がなんやかんやかわいいことは知ってる、というくらいで、なんでMステを録画したかというと新しいミニアルバムに入ってた「サントラ」が結構好きだな、と思ったからだ。そう、そもそもこれめっちゃいい曲。

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大きくは「映画みたいな生まれ育ちやドラマみたいな過去じゃなくても」という生い立ち、そして「人の感情以外は何一つ生み出さぬ仕事」という俳優とミュージシャンの共通点(ひいては矜持)がこの曲の両軸なのだろうけど、なんだろうな、いわゆる「こじらせ」マインドからこういう死ぬほどピュアなものがぼろっと出てくると却ってグッとくる、みたいなやつ。ヒップホップのテクニックのことは私にはよくわからんが、このリリックの抒情性はわかるよ。青春映画みたいなリリック。意図したものなのだろうか。

あとこれがロック?パンク?なのがマジでスゴい。なぜって、この曲をカラオケでみんなで絶唱すると最高に気持ちいいっていう。あのねー、これブルーハーツとかモンパチとか、あの辺の「男子高校生が打ち上げのカラオケで叫びながら歌うやつ」の系譜なのよ。意図的なら「お、おまえら、自分らのこと""""理解って""""んじゃん…!」だし、無意識ならそれはそれで「お、おまえ、天然でやってんなら""""本物""""じゃねぇか…!」という戦慄が走るw

で、Mステ。この曲をパフォーマンスする3人はまるで世界に自分たちだけみたいに、放課後の音楽室にたむろってふざけるみたいに、夏休みの夜に公園で花火をするみたいに、卒業式の後のカラオケではっちゃけるみたいに、それこそ「半径2キロの世界で生きる男子」としてあまりに純度が高くて、私はもうブルブル震えるしかなかった。リリック飛ばしたRに菅田将暉とかが「うぇーーいww」つってニヤニヤするとか、そんなん好きでしょ!!!おい!!!オタクども!!!!生放送のハプニングに興奮を覚えたことのないオタクだけが石を投げなさい!!!

演出も最高だった、3人だけしか映らない空間で瞬く無数のライト。あれは彼らに注がれる無数の目や視線の暗喩でもあったし、そもそもセットとカメラと演者しかいないあの空間自体が「ライツ、カメラ、アクション」を形にしたものでもあったし。落ちサビで菅田将暉が浮かび上がるところとかもう最高でチビるかと思った。菅田将暉めっちゃ青春の顔で歌ってて役者スゲーーー!!!歌詞を演じながら歌うのがうめーーーー!!!!!

で、出演前のANN聞いたほうがいいよっつって聞いたら、「FNSとかでさあ木村さんが“今夜の祭りは~♪”とかって替え歌するじゃん、あれやりたい!ラップは入れやすいと思う!」つって盛り上がってて、「今日もMステから『どう調子?』」がまさかの木村リスペクト(なのか?w)だったことが判明して、前振りが完璧すぎるだろう…リリック間違いから替え歌回収すんのカッケーだろ(そして流れのドラマ性が高すぎるだろ)!!!!とビビった私であった。どうでもいいけど、ANN聞いてみたらそりゃみんな(オタク)おまえたちのこと好きになっちゃうよ…という感じで大変感銘を受けました。「自意識こじらせ」「自分たちだけの言語でキャッキャ言って盛り上がる」「卑屈だがなんやかんやで矜持と純度は高い」みたいなとこ。こいつら「木村スタイル」とか散々茶化しておきながら、いざ木村と対面したら絶対「木村さんカッケー!」ってなるタイプだと思う。

オタクにはそれぞれ「忘れられないMステ」の記憶があるが、今回の「サントラ」はその枠にinしてしまったな。紫スーツの「華麗なる逆襲」とか2週目の「Love so sweet」とか伝説の「スワンソング」とかアトリウムが揺れた「ズッコケ男道」とかギラギラのキスウマとか。

そんなCreepy Nutsが来週のMステに単独出演ということで。しかも共演者が嵐だのPerfumeだの強い。また録画しちゃうやつ。楽しみ。