オタクは概念の話が大好き/脳内クラッシュ演劇「DRAMAtical Murder」

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BLゲーム(しかもニトロプラスキラルの)を中屋敷さんで舞台化マジかよ!けどまたステラボール!そして何かとカブってる年末!つって足踏みしていたのですが、中屋敷さんのテンションがヤバすぎるので、いったい何が起きているのかを知るために私は品川の奥地へ向かったのであった。↓なんなんだこのテンション。楽しそうだな。

ステージに中屋敷さん演出おなじみの斜めになった盆(としか言いようがない、あれ何て言うの?)が見えた瞬間、「これこれー!」みたいな安心感あったよね。はい、おもしろかったです。そりゃあおもしろいでしょうよ!「舞台化する」ってこういうことだよね!という2.5次元。板の上で世界観を顕現させ、物語をきっちり描き、キャラクターを受肉させ、客が期待しているシーンもしっかり入れる。こういう舞台が観たかった。

私が観たのは蓮というキャラをフィーチャーした公演。この作品、主人公の子がヒロインで、彼と誰がロマンスする(古い)かが回替わりなんですわな。蓮ルート、ちょっと難易度高かったですね!?ほかのキャラのほうがBL感あったんだろうな〜。

ネタバレてしまうと、蓮は主人公の犬型オールメイト(ペットみたいなロボット?)なんだけど、じつは蓮は主人公の頭のなかにいる暴力的なアザーサイドから善良な主人公を守るための意識そのもので、オールメイトに自分を投影させて主人公の側にいたんだけど、いろいろあって感情が生まれてしまった結果主人公に恋をして、でも蓮はもともと主人公の一部だし云々…ひとことでいうと難解だったw 自分と自分のラブストーリーというか、自分と自分の濡れ場(後述しますがきちんと?やってくださいました、すごい)というか…しかもそれらはすべて仮想空間で執り行われているみたいな…もうね、全部概念。概念の話よ。オタクが大得意な概念の話ですよ。最終的には転生(?)するし…古のオタクに優しい…この設定、いまの若い子に伝わんのかな…

ただドラマダの核を担う大きな謎が明らかになるのがこの蓮ルートだし(ほかのルートでもある程度明かされてんのかな?)、作品自体はやっぱり主人公・蒼葉の物語なのだろうから、蒼葉が「もうひとりの自分(蓮、悪蒼葉、そしてセイ)」と向き合う蓮ルートこそがドラマダの真髄なのでしょう。

1幕で状況説明・各キャラとの出会い・大きな事件が起きる→2幕で事件の解決とロマンス(という以外にどう表現するべきなのだろうか…)っていう構成だったんだけど、どこまでが共通ルートなんだろう?1幕までかな?

SFっぽい世界観で専門用語(?)もガンガンあるので原作知らないとついていくのがやっとだが、この「最低限知っているべきことは取り急ぎ爆速で説明する」という割り切りかた、私は好きだよ…!置いていかれそうなスピードとテンポに食らいついて、頭働かせながら観劇するのはとても楽しい。舞台ドラマダの優しさは、手取り足取りルビを振るように解説してくれる優しさではなくて、「このくらいの説明でもわかるよね?」と客に理解を委ねてくれる優しさなのではないでしょうか。私は後者のほうが好きです。前者はバカにされてるみたいで好きじゃない。

状況や世界観を口で説明するタイプの舞台なので、それが嫌な人もいるだろうな。私はアリ派です。モノローグで「観客に」語りかけるタイプだからあんまり気にならなかった。「俺は家を出てあいつの店に向かった」みたいなやつですね。状況説明をキャラ同士の会話でやられるとくっそサムいけど、モノローグならすんなり受け入れられた。

この作品を観てバカにされている!と感じるならば、その原因はモノローグ演出にあるのではないか。確かに異常に説明してくれる。でも裏を返せば、言葉で説明されるものは「それ以外の表現で見せる必要がないこと」であり、観客の想像力を借りたほうがいい部分は、ちゃんと視覚的に見せる演出がされていたように思います。その仕分けがとても的確だった。たとえば蓮の表現。蒼葉は犬のぬいぐるみに話しかけている、その返事は後ろに佇んでいるキャラクターから発せられる。その画だけでじゅうぶん「ああ、後ろの人が犬に憑依して喋ってんだな、何か事情があるんだろうな」と理解できるわけですよ。とくに蓮ルートは観客の想像力に委ねられる部分も大きく、こんなにコンパクトにまとめてきたという自体が「オタクならこういう説明とこういう表現でわかるよね?」という中屋敷さんからのメッセージなのではないかw

まあ確かに状況を理解するのが精いっぱいで感情が追いつかないこともあったけど、おそらく作品の最大のキモは「DRAMAtical Murderというボリューミーな物語をいかに舞台1作で成立させ、完結させるか(ついでにちゃんとBLもやる)」だと思うので、まずはきれいに収まっていることに感動したい。もっと長い時間かけて物語楽しみたいなら普通にゲームやればいいし。世界観やストーリーの骨格は原作ミリしらでもちゃんとわかりました。「えっ結局クリア何者なの」とか「あれミンクってなんなんだっけ?」みたいなとこは、そのキャラのルートを観ないとわからないんだろうな。でもそれは観客に対する不誠実ではない。私が観たのは蓮ルートだから、蓮の想いが表現されているだけでじゅうぶんだったわけです。関係性を深める=ルートに入ることで相手のパーソナリティーがわかる(つまり、ルートに入らなければ相手のパーソナリティーはわからない)、っていうのはきっとゲームの仕様と同じだな〜と思いました。個人的には紅雀さま推しです!!!女たらしのキザな髪結い!!!!!好きに決まっとろうが!!!!!!幼なじみロマンス見たかったな〜〜〜〜〜。少女漫画みたいになりそう〜〜〜。

つかなんでドラマダを舞台化することになったんだろうね…そもそもそこですよ。キラルのゲームやったことないけど、「内臓とか血とか出てくる」みたいなイメージ強いもん。刀剣乱舞(原作はニトロプラス)つながりの縁でしょうか。中屋敷さんに委ねたネルケは偉い。「えっ大丈夫!?いやでも中屋敷さんなら逆にアリ、アリだな!?」ってなるもんねw

で、実際どの程度BLだったかという話。しばらく「あっさすがにキャラ同士の距離近いんすね…」くらいでBL感はさほどなかったのに、途中で主人公が捕らえられて(以下略)のシーンを目の当たりにした瞬間「こっ、これがニトロプラスキラル原作BL舞台…!」と思わず固唾を飲んだね!コンテンポラリースタイリッシュR-18だった〜〜〜〜概念〜〜〜〜俺たちオタクは想像力が発達しているのでちゃんとR-18シーンに見えました〜〜〜〜すげえな〜〜〜〜〜!!!!!濡れ場はコンテンポラリーダンスな感じでオシャレに処理されていましたが、チューはガチで男子同士でかましてくれました。すげえ。瞳孔開いた。つまり蒼葉の永田くんは全公演かわるがわる違う男とキスをするということやな…ゴクリ…

というところからキャストの話に。いやーーーもうーーー永田くんマジで何!?逸材すぎるーかなりすげえ。BL云々ではなく、永田くんの謎のポテンシャルがなければこの舞台成立してないでしょ…ガンダム00の舞台でティエリア役を拝見してましたが、今回はまさに俺僕私を最大出力に振り切ったみたいな怪演でした。普段の自分と頭のなかにいる悪い自分のせめぎ合いで悶え苦しむシーンとか、ここは本多劇場か…?というヤバい熱量があった。お芝居うまいんだけど、うまいっつーか…なんだろ、謎のエネルギーがほとばしっている永田くんだから「BLやらせてごめんな…」的な後ろめたさもなく、「永田ァ!!!!!かましたれ!!!!」と拳を突き上げるように瞳孔かっ開いて応援しちゃったよね。セリフ量も当然やばいし5ルートあるし、並大抵の仕事量ではない。つって、21歳なの!?!?!?ヤバすぎる…ポテンシャルの塊やんけ…2.5次元の小劇場役者(概念)って感じの風格すら漂わせるパフォーマンスよ… 

中屋敷さんと脚本の方がだいぶノリノリだからっつーのも大きいだろうけど、キャストもおおむね楽しそうにやってるとこもなんかイイw 変にBLであることをごまかされると謎の気まずさがあるけど、「よっしゃ!ちゃんとBLしながら世界観作ったろ!」つって開き直りながらフラットに作られてて好印象です。ノイズよかったな…往年のオタクに受けるキャラクター造型すぎて昭和生まれのオタクはブルブル震えた。演技も声も素敵でした。君、これが初舞台なのか…!!!

 ついでに紅雀さまも貼っとこ♡ 劇シャイ以来の小波津くん、相変わらずギリシア彫刻のよう。

うむ。結論、とてもおもしろかったです。日程と予算に余裕があるならもっかい観たかったくらいだ〜〜。次の紅雀ルート公演、刀ステのチケット持ってる日で無念でした。「BLが苦手な人も観れる!」という言いかたはまったく不適切だが(真っ正面からとてもBLなので)、BL舞台観てみたい〜って人はじゅうぶん楽しめるかなと。

まーこんな作品が舞台化される機会はそうそうないと思うので、劇場に行ける人はぜひ行ってみてはいかがでしょうか。当然円盤化も予定なしだそうで(そりゃそうだ)。とはいえ私が憎しみ続けるステラボールですので、チケットが選べるなら20〜40番くらい(列問わず)を激しく推奨します!!!ちなみにステラでマチネ入るときの昼ごはんは品川駅構内の立ち食い寿司がおすすめだよ!!!!

誰が為の2.5次元か/PERSONA5 THE Stage

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これからの時代、「誰に向けた2.5次元化か」問題はどんどん複雑になっていくのではないでしょうか。黎明期は「キャラが生きてる〜!」「原作から飛び出してきたみたい!」と思わせることが最大の正解だったと思うんだけど、これだけ当たり前に2.5次元舞台があり、しかもオタクが観慣れるフェーズに入ると、もはや「原作を舞台の上にぺたっと貼りつけただけ」では評価されなくなるのではないか、などと考えたりするわけです。希望的観測含む。

俳優ファンなんて当たり前に目が肥えてるだろうし、作品が長期シリーズ化してるいま、二次オタでも2.5作品に複数触れたことがある人はフツーに多いはず。そういうオタクはそろそろ、舞台シリーズの「型」みたいなものをちゃんと理解し始めているのではないでしょうか。「型」っていうのは、「刀ミュは1部がミュージカルで2部がライブ」「ペダステは最後にヒメヒメ踊る」みたいなテンプレな。原作ではなく舞台シリーズの「型」を理解するって、何気に高度な観客スキルだと思うんだけども。

で、観客の理解が着実に進んでいるとすれば、「とにかく丁寧に原作をなぞる」っつー誠実さって、もしかして不要になるんじゃない?と思うわけです。確かに初観劇の二次オタにはその誠実は有効であろう。「わあ、原作通りだ!」という印象がプラスの評価につながるから。ただ、ある程度舞台を観慣れた客にとっては「ただ原作通りにやるだけ」の舞台ってつまんなくない?雑食にいろいろつまみ食いしてきた私なんかは「わざわざ観にきてんだから、原作再構築して舞台ならではの何かを観せてくれよ!」って思ってしまう。今後、観客の観劇経験が増えるにつれて「とにかく原作に忠実にやる」という価値が失われる未来もありうるな〜と思うわけです。

で、ペゴステ。これ、「とにかく原作をなぞる」パターンをド真ん中でいっているように見えました。つまり私はじゅうぶんに楽しみきれなかったんですね。原作を知らないとか、座席が3階(ケチって一般席)で遠かったとかの要素もあったんだけど、没入できなかった理由の大半はやっぱり「原作をなぞるだけの舞台に魅力を感じないから」かなあ〜〜〜〜〜〜。冒頭、どどん!とカジノの背景(アニメかな?見覚えあった)がフルスクリーンで出てきた瞬間、あっーーなるほどーーーー!そっちね!オッケー了解!と心構えしたよねw アクションシーンも、ペルソナの絵はゲームのCG借りてんのかな?まあとにかく、ご本家の映像をがんがん使いまくるタイプの演出に若干テンションが下がってしまったため、その後も没入感を感じきれずに終わってしまいました。なまじヒプステで広範囲の投影に耐えうる映像演出を観てしまったがために、スン…としてしまったよね…2.5ちょいちょい観てる人ならわかるっしょ!?映像使えばいいってもんじゃないよね!?w 二次元に近づけるための演出なのかもしれんけど、やっぱり三次元の奥行きを持ったキャストと二次元を融和させるのはとても難しい…ただ原作絵を映すだけの演出はコントと紙一重の際どい手法であることに早く気づいてくれ…

ぺごすての場合、忠実になぞるがゆえにところどころ野暮ったかったのも気になってしまいました。つーかペルソナが野暮じゃダメでしょうよ!!!むしろほかの何の要素を削ってでもオシャンティーに仕上げなきゃいけないはずの原作でしょうよ!!!!!!セリフひとつ取っても「いやそれは言わなくてもわかるよ!」みたいな余計なセリフが多かった印象。ゲームのシナリオをそのまま引っ張ってたりするのかな?なら納得なんだけど(キャラの動きが見えない→セリフで補完しなきゃいけないからね)。わりと口で説明するタイプの舞台でしたね。

アニメやゲームと同じテンポで進めようとしたがゆえ(たぶん)に、構成がいびつに見えたのもムムム…なポイントでした。いやー難しいよねわかる超わかる。だって素人目にも人気キャラは明智と喜多川なのに、このふたりは話進まなきゃ出てこないんでしょ…頭抱える気持ちは超わかるよ…冒頭の設定はきちんと原作通りに描きたい、人気キャラは出したい、しかし仲間が増える順番は変えられない、その結果としての、あの構成…!!!wwwいやそれにしたって、それにしたってですよ!喜多川くん、3時間の公演で出演時間のべ5分よ!?まじで!!!2フレーズ歌ったほかは1シーン(しかもセリフ2行くらい)よ!?カテコでも出番の少なさイジられてるらしいけど!w

なんかそういうとこも、原作を再構築することでうまいことできなかったのかな…と思っちゃうわけですよ。鴨志田のエピソードを1幕で片づけて、2幕で喜多川のエピソードやることは本当に不可能なのか!?という話ですよ!歌(幕間に原作ファンが戸惑っていた)とか「いやそれいらんやろ」みたいなシーン・セリフをがんがんカットしたら、もしかしたら可能になったんじゃないですか!!?!?!?てかなぜ歌わせた??????

カテコのあとにあの予告編をやるのはそれこそ野暮だと思う。次回作もう決まってるんだろうし、そこで喜多川くんが仲間になるんだろうけども、中途半端に顔見せするくらいなら出すなや…みたいなモヤッとがあるよね。今作を観た客はどうせ次回作も観るだろう、という傲慢が透ける。次回作のフラグがびんびんに立ってても、作品としてきれいにまとまってればポジティブに受け止めるのに、探偵団が全員揃ってない状態で「次回に続く!」やられると、「いや頑張って1作に収める努力はしようよ!!!!」とツッコみたくなる…し、頭を悩ませて努力した結果があの予告編だと思うと…なんか…そういうことじゃねえ…w

ついでにモヤッとポイント全部吐き出しちゃいますけども、ペルソナシリーズらしい深みがさらっと流れちゃったのも「あれっ?」だったな。「人間(大人)の悪しき欲望はオタカラである」とか、「我は汝、汝は我」とか、世界観のカギであり原作の本質でもあるであろう要素が掘り下げられていなかった。刀ステが「歴史を守るために戦う」という原作設定を膨らませ、再構築して壮大な物語を描いているように、深いところを抽出して再構成することは不可能ではなかったはず(トレスすべき筋書きがない刀剣はイチから作るしかないけど…)。それができていなかったのも、原作のテンポに忠実に作ろうとしたからじゃないかな、と推測します。3時間の公演ではゲーム3時間分の物語しか描けないのは当然ですな。鴨志田のエピソードだけではペルソナらしさを汲み切れなかった。

…とまあ自分でもマジかよって思うくらい無駄に不満を書いてしまっているのだが、当然ながら私がモヤッとしたというだけで、「なんだこの雑な作りは!!!」みたいなことじゃないです。キャストの話もしよう。猪野ちゃんはほんと器用!!!そしてヒデ様と高木俊さんはスゲー!あのくらいクドいほうが絶対いいよねこの世界観!!w ビビットな世界観とキャストのナチュラルな演技が釣り合わなくてドキドキするシーンもあるなか、ヒデ様と高木さんのクドさは最高にハマってたw モルガナちゃんは…ちょっと…審議ですね。いやかわいいけど、かわいいけど本気か冗談かわかんなくて戸惑うでしょ!w あのサイズ感で踊られるとつい見ちゃうからやめてほしい(しかもちゃんと踊れている)。

なんだろうなあ〜〜この感じ。決して怒ってるわけじゃないんだけど(私に怒るべき理由はないし)、モヤッとするな…みたいな。ただ私は部外者ではあるので、原作ファンの方が最高だった!と喜んでいるなら私の感想は無駄・蛇足・野暮でしかなく、私はお呼びでなかったのでしょう。制作側が手を抜いてるという印象もなく(むしろちゃんと誠実に作られてはいると思う)、ただ私が求める2.5とはちょっと違ったという話。誠実さの置きどころの違いかな。私は「原作に忠実」以外に誠実さをつぎ込んだP5が観たかった。

ところで私は次回作があったら行くのか?どうするんだ?喜多川くんはもっと観たいけど、この感じかあ〜と思うと悩ましいところです。

物語を、歴史を、運命を肯定するということ(雑感)/舞台『刀剣乱舞』維伝 朧の志士たち

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観た。初日観たの初めて!!!!!!!幕間含めて3時間15分くらい?平日18:30開演だった時点でなんとなくお察しの長さよ。それでも強烈に入り込んでのめり込んで感情を揺さぶられる物語の強さ。刀ステはおもしれえな!

いままでのシリーズは一応全部観てるんだけど、シリーズ間の辻褄とか伏線とかに気づけるタイプではないので、考察やらなんやらは識者に任せます。ここでは公演後に軽く識者と話して気づいたこととか、シリーズを通じての個人的な所感とかを残しておく。全然まとまりはない…そして考察じゃないけどネタバレはたぶんめっちゃします。

あ、そうそう。前提としてFGOの知識?経験?下敷き?がと〜〜〜〜〜〜ても役立ったのでありがとうディライトワークス&TYPE-MOON!!!!!!FGOの推しは龍馬です!!!!!!!帝都聖杯奇譚つーか、あの世界の龍馬と以蔵さんを前提にすると、「し、し、し、知ってるーーーー!」感ヤバい!帝都らへんが好きな人はぜひ今回の刀ステのライビュチケットを取ってください。開始10分で泣くぞ。そして今回の黒幕が…なことで、あの世界の以蔵さんが龍馬にめちゃ懐いてる(?)のも逆説的に納得…だってFGOの以蔵さんは対龍馬であんな感じじゃないですかあ…つ、つら〜…そんでFGOの龍馬が特異点の「抑止力」として登場するのもまた、また、ね!!!ゲキアツじゃない!?だって今回の刀ステと真逆なのに、全然キャラブレがない!!!!日本人マジ信長と龍馬に夢見てる!!!わかるで!かっこいいもんな!こういう心がまた信長なり龍馬なりの物語を生んでしまうんだな…

 

そもそもFGOの英霊システムは刀ステの刀剣男士を解釈するにあたり参考文献すぎる。今回は特に。だって英霊たちの性格や特性の根拠となるのは、まさしく彼らが「語られた」「物語」であるからして。サリエリの英霊の特性は「モーツァルトを殺した」という人々の噂から生まれた、みたいな話だったよね全体的に。

そんで今回、私がなぜ刀ステをおもしろいと思い、ある種のカタルシスを感じるのか、ということがちょっとだけわかった気がする。それにはまず私個人の前提を説明しておかなければならないのだが、私は実存主義と呼ばれる思想がとても好きである。卒論もニーチェで書いたし。実存主義とは何かというと、(私も詳しいわけじゃないから超さらっとしてますが)、つまり「実存は本質に先立つ」ということですね。「人は女に生まれるのではない、女になるのだ」。意味があって存在するのではなく、存在してから意味が生まれるのだ、と。私は「私が、いま、ここにいる」ということを前提としているこの思想が好きなんだよねー。私が存在する意味なんて見つかるわけないから、「私がいま、ここにいる」ことくらいは信じたいんですね。そうじゃないと死にたくなるでしょ。これはニーチェの「運命愛」にもつながる概念だったりする。たとえ永劫回帰する世界(あっ…円環…)が救いがたく悲劇的だったとしても、それでも愛して肯定する!というのが運命愛。私はこの発想が大好きなのだ。

なんでそんなことを言い出したかというと、刀ステは「自分の運命=物語=歴史を肯定する」というのが大事なテーマなんじゃないかなと思ったからです。それは刀剣男士も、歴史上の偉人たちも同じこと。刀剣男士であれば、文字通り自分を形作る「物語」を(否定せずに)肯定することが、そのまま自己肯定につながるわけよ。これまで出てきた刀剣男士みんなそう。今回ならむっちゃんとか肥前くんとか顕著でしたね。坂本龍馬が死ぬという物語を肯定する。人斬り以蔵の生き様を肯定する。肯定することで自分(自我と言い換えてもいい)を保てる。

そして個々のキャラからもう一段階上のレイヤーで見ると、この世界の「正しい歴史」という物語を肯定することが、刀剣男士の存在を肯定することにつながるんですねー。やばい眠くなってきた、何書こうとしたんだっけ。うまく説明できないんだけど、運命とは物語、物語とは歴史、歴史とは運命、みたいな、微妙に違うが本質は同じ概念が全部数珠つなぎになっていて、結局は「自分を肯定するための戦い」を描いている作品なんだろうな〜と思いました。それは刀剣男士も歴史上の人物も、歴史修正主義者だって同じかもしれない。

そういう意味で今回の龍馬はすごい。自分の死=運命をすんなり受け入れた偉人初めてちゃう!?みんな悲願とか無念のために歴史改変したのに、そして正史(自分の運命)を肯定するまでにめっちゃ大騒ぎするのに、龍馬は「友達死んじゃうの嫌だ」で歴史変えちゃう。しかも「みんなが平等で平和な世界を作る」っていう軸は朧の世界線でもブレない。それが本懐の達成につながるから、「自分が非業の死を遂げる」という運命、歴史、物語を肯定できる。「自分のために」じゃなくて「世界のために」の人が起点になるとこうなるのか…!っていう!そしてその物語、その歴史がむっちゃんの運命をつくるんですよ…だからむっちゃんは龍馬を斬れるんですよ…すげ〜〜〜〜入れ子構造!考えれば考えるほど一本筋の通ったテーマでビビる!!!!すげえ!!!!!好き!!!!

まあ実存主義とまではいかなくとも、「在る」とは何か、というのは明確なテーマなのだろうなあ。それは刀剣男士がモノだから際立つテーマですね。人間でそれを考えようとすると、ほら、なんか…大変じゃん。だめだな、ここから先はちゃんと勉強しないと発展しない。サルトルとか読むか…(私は何の話を…?)

ともあれ、私が漠然と刀ステを好きなのは、常に「自分を肯定する」というテーマが流れているからなんだろうなあ、と思いました。うむ。

以下、どうでもいい覚え書き。

  • この舞台、むっちゃんの蒼木くんが倒れたらすべてが終了する舞台…マジで怪我病気には気をつけてマジで…マーベラスは全力で蒼木くんを守って…
  • 相変わらず刀持ったままバク宙?するのちょっと意味がわかりません すごい
  • 以蔵さんの処刑とか龍馬が手紙読むとかもうそういうの、ダメ、ダメです!!!(泣きながら)
  • 間組がもう明らかに異常に良すぎて、序盤鳥肌止まらん すごい
  • 音楽がかっこよくて最高最高!サントラ欲しい!ジャズ!やっぱり西はブラックミュージックなんだな〜
  • あの、円環に関しては、その、なんていうか…識者にお任せします…
  • 鶴丸と小烏丸さんが密命とか言い出した時点で悪い予感した
  • 密命の内容はそんなに不穏じゃなかったけどそれどころじゃないっていうか、マジで、何!?刀ステっていつ終わるん!?逆に次回作ですか!?
  • 久々染谷鶴丸大ハッスルの巻。小烏丸さんとシンメになる鶴丸は染鶴じゃないと無理ですね…(個人的に声と殺陣は健人くんのほうが合ってるかなーとも思いつつ。若さのパワーがね…)
  • 兼さんとても声がよい。2、3回大胆に噛んでて微笑ましかった。緊張するよな、頑張ってな…
  • 櫻井圭登さん超〜〜〜〜〜いい〜〜〜〜〜さすがあんステでひとりRa*bitsやってた男は度胸が違う!!!
  • 2.5次元の小劇場俳優って感じの佇まいになってきましたね…シブゲキや新宿FACEでおなじみの俳優はひと味違うぜ…
  • 南海先生かわいい。すごい難しくてクリティカルなこといっぱい言ってた。私たぶん半分くらいしか理解できなかった。あと殺陣のときめっちゃ御御足見た
  • 真剣必殺のBGMにまたクセがあったw頭をよぎるチャチャチャ(ジョ伝)
  • エンディングの曲なんであんなに不穏な曲調????????!!!?!?!?!?!?本編BGM超〜かっこよかったからイケイケジャズで来ると思ってたんですけど???????
  • 物語としてはすっきりまとまってるし、龍馬とむっちゃんもキッパリスッキリしててカタルシスあるのに、ちょいちょい挟まれる不穏がインパクトありすぎ
  • 三日月???????円環?????朧??????探してる?????何!!!?!?!?!?!??????
  • 初日スタオベすごかったなーーーーいやする、あれはスタオベする。蒼木くん、マジですごい。本当身体には気をつけて…
  • 明らかに殺陣が多く、登ったり降りたりの動きも多く、あれを1日2公演やると思うと頭が上がりません

今度は12月下旬にもう1回観ます。つぎはもうちょっと解像度を上げて観られるといいなあ!長期公演ですが、無事に走り抜けられますよう!

「下品でありながら上質」は成立する/ミュージカル『50Shades!~クリスチャン・グレイの歪んだ性癖~』

初演時にこれは絶対おもしろいぞという空気を察知したもののタイミングが合わず、まさかの再演で無事リベンジです。いやーもう、最高。観に行ってよかった。

週に一度、「本を読む会」を開催している主婦三人組パム、ベブ、キャロル。
マンネリ化した性生活を送る彼女たちが選んだ本は、女子大生のアナが若き企業家のグレイに惹かれていく恋愛小説、いやその実、官能小説。
小説で描かれるのは、これまで平凡に生きてきた純真無垢な女子大生・アナ(処女)と、リッチで色男、だけどとんでもない性癖を持った青年実業家・グレイの、どこまでも歪んだ愛のカタチ…。
果たしてアナの心のビッグ・ホールは、グレイのビッグ・ラブによって埋められるのか?
惹かれ合う二人の行方やいかに?!

ということで、キャッチコピーは「あきれるほどエロティックで馬鹿馬鹿しいロック・ミュージカル」。もうこれがすべてですね。ジャニーズの人が出てる外部舞台、たまにこういう「ヤバい」と「キャッチー」を同じ高濃度で放り込んでくる奇作があるからあなどれん。

新宿FACEという世界から隔離されたかのような閉鎖空間で、超かっこいい生バンド入れて、R15の物語を手練れの役者ばかり揃えて最高の演出で上演する、これを贅沢と言わずして何と言う。下品・低俗でありながら上質であるという、ギリギリ踏み越えないバランスがすごすぎる。スタッフ、キャスト、客、誰かひとりでもこの作品をはき違える人間がいたら崩壊してしまうことでしょう。そういう意味で、みんな揃って共犯者、「私たちだけがわかるおもしろさ」を共有する内輪感がいい意味でサイコ〜〜〜!大人のエンターテインメント!

んで私はあまねく87年生まれ(同級生)の人を応援するオタクなので、浜中文一先生に言及せざるを得ず。いやもう最高かよ、浜中担どんな気持ちでこの舞台通ってんの!?w なんか変な意味ではなく、すげえピュアな意味で文ちゃんにしかできない作品じゃないかと思っちゃった。なんなら生田斗真でもできないでしょこれ。隙間産業が過ぎる。ジャニーズの治外法権

この作品のヤバさは「文ちゃんからピンポイントで指さされてFワードを叫ばれる(真顔で)(文字通りの意味で)(客爆笑)」という時点でおわかりいただけると思います(あとヴァギナハンドサインを掲げさせられる)。自担に舞台上から一発誘われることある?そんなん浜中担ならその席ピンポイントで入り……いや入りたいか!?www稀有な経験であることは間違いないけども!!!

文ちゃんがハマってるのは事務所のなかでも比較的アウトサイダーなタレントだからというだけではなく、持ち前の世界観とか容姿とか、そういうの含めて全部。ひとことでいうと「生々しくない」というところなのかなあ〜。翻訳劇が似合う謎にロイヤルなお顔立ち、真っ白でガリガリの身体、シュールな世界観…そういうのが全部妙にファンタジックに仕上がっておりました。あの容姿、あの世界観をもってして関西弁操れるのはいっそ卑怯。おもしろすぎる。ヤバい存在感すぎて、浜中先生なら新感線も大人計画もイケるっしょ…早く見つかってくれ…河原さんの関係者枠で観にきた演劇人、サイコーのトリックスターキャラできる役者ここにいますよ…!

文ちゃんのすごいとこは、別に普通の(語弊を恐れずにいえば、じじばばが観に行くような戦争モノとか)も同じテンションでできそうなところだなーと思いました。本人のなかではモチベーションの波あるのかもしんないけど、どんな作品も一定の温度感、一定の距離感でやってそうでスゲェ。この作品、熱意やる気バリバリで演られたら絶対スベるもん。悪ふざけをエンジョイしてるくらいじゃないと、こんなにオシャレにならない。歌も上手いし踊ってくれるし、どんな関ジュ現場より最高の浜中文一がここにいるのでは…と思ったけど、その無駄感もこの作品においては最高じゃん…w ただ、観てる最中ちょいちょい「この人、帝劇でSHOCK出れる人なんだよな…」という賢者モードが訪れます。それすら笑えるからずるいんだけど。

もちろんほかのキャストもま〜〜〜〜上手いのなんのって。テンションの置きどころが1ミリの狂いもなく、オシャレすぎんよ〜!水崎綾女さんも最高っすねー!かわいくて歌うまくて、最初はこんなん出て大丈夫?って思ったけど、終盤はもう「あんたが大将!」つって大喜びで拍手しちゃったもんな。あんなに大胆にパンツ見せてくれると思わなかったので、正直もういっぺんくらいパンツ見たかったです。あとシルビア・グラブさん、最後の最後に高嶋政宏さんの奥方だと知ってキャスティングの芸の細かさにめちゃくちゃ笑った。全体的にくそこんしかない。

は〜〜〜〜、ほんとに、すべてがオシャレだし芸達者ばっかだし休憩あり2時間20分もちょうどいいしその大半「wwwwwwwwww」つって笑ってたし、最後はなんか妙なグルーヴ感に包まれて「ヒュウ〜〜〜!!!↑↑↑」ってなっちゃうし、変な舞台!!!w 観てよかった。「これをおもしろがれる私、センスいいじゃん?」ってなれるので、紳士淑女の皆さんは当日券かなんかでぜひどうぞ。これ東京大阪福岡で回るのマジ正気じゃねぇな!応援してます!

 

18000円の回収を加算・減算式で考える/『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage -track.1-

いきなり人のテキストを貼る。 

いや、もう、ほんとこれ。これに尽きるというか、すべてが「でも18000円だし」に始まり、すべての基準が「でも18000円だし」になり、どんな結論をもってしても「でも18000円だし」で終わるっていう。グッズ代含むと言われてもいらないグッズは0円(むしろかさばるのでマイナス)ですし、つまり実質チケット代18000円ですよこんなん。

で、この先もう2.5次元(に限らずだが!)で18000円のチケットを買うことはないと思いたいので、せっかくなので徒然と…久々に現場記録などを残しておこうと思った次第です。

私の経験上、ふわっとした心構えで観るとだいたいふわっと楽しんでふわっと終えてしまうのですが、ことヒプステに関してはふわっと流してしまうには失うもの(18000円)が大きすぎるわけよ!!!!!

てなわけで、「楽しませてくれるんでしょう?」みたいな受動的な姿勢ではなく、「ここに楽しみを見出せるかもしれない!!」という能動的な姿勢で気持ちを作ってから行きました。どないやねん。いやでも18000円だしさ。ヒプステだからとかじゃなくて、パッシブな気持ちで観て18000円の元が取れる作品ってたぶんないし…結果的に「最高すぎ〜18000円全然払うわ〜」と思えたとしても…

どんなに取り繕ったとしても18000円はついて回るので、感想に加算・減算式を取り入れました。ちなみにわたくしハマ推し、個人で言うと…銃兎…かなあ…?って感じです。

  • そもそも会場がステラボールである:-3000円
  • なんかテーマパークっぽい予算のかかったセット:300円
  • ナレーションが無駄に山ちゃん(どうせなら立木さんに頼めよ!!!):300円
  • 映像が2.5にしてはオシャレ:100円
  • 高野洸くんさま!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!:3000円
  • 高野洸くんさま、ラップだけじゃなくて喋りもきむすば一郎に寄せてるの器用すぎる:1000円
  • 二郎・三郎めっちゃかわいい〜若い〜山田家尊み〜:1000円
  • 二郎の松田くんは関ジュ顔だと思う:100円
  • あらんちゃんwwwwwwwあらんちゃんwwwwwwwwwwwww久しぶりwwwwwwwwwwwwww:300円
  • 華奢なDK左馬刻様って感じで25歳・職業ザーヤクのシルエットではない:-500円
  • 銃兎…い、意外と…ええやん…思ったより銃兎やん…美人やん…(個人の感想です)(でもメイクは宝塚の男役風)(でも声は小さい)(びっくりするくらい声が小さい)(ラップ頑張ってる感はあった)(スタイルは最高)(マイク使ってるときの肩紐みたいなやつに興奮した)(総じて私はこの銃兎、"""アリ"""派です):2000円
  • 銃兎の水江ちゃん、シンプルに演技が下手:-300円
  • 理鶯ちゃんたぶん悪くないんだけど、もう少しガタイいいとよかったなあ!!!!!:-100円
  • ブクロ3人のシルエットが最高なだけに、ハマのシルエットはちょっと惜しい:-200円
  • ゲテモノクッキングまわりのハマドタバタギャグ感かわいい(いっそハマの見せ場だった):1500円
  • 勇太(アカバネのカズな)が重要な役回りで出ているのは嬉しいし勇太はできる子!!!!!!(参考記事)(Bプロキャストに対しては永遠に古参ヅラをします):1000円
  • 何かとソツのないアカバネの皆さん:200円
  • なんだかんだ全体的に曲はそこそこいいが、やっぱメインテーマ?をみんなで歌われるとアガる:500円
  • あらん左馬刻いい匂いした:100円
  • ヒプマイホーン鳴らすくだりほんと爆笑した 意外と1つ1つの音がショボくて笑い死ぬ:300円
  • 2幕でガシガシ踊ってくれるのいい!!!キャラ的に仕方ないとはいえ一郎・左馬刻を踊らせるのが遅ぇよぉ〜〜!!!:500円
  • 心の収支:△8100円

うむ。なかなか妥当ではあるまいか。人生経験料、「チケット高ェ!!!!」と怒り狂った感情のエンタメ料を加算して、やはり10000円くらいが真っ当かな…って感じですね…なんやかんやで超エンジョイしたし学びも多かったが、しかし!しかし!!

やっぱり高野洸くんさまが本当に本当に本当に大正解。さすがのチューニング、さすがも理解度、さすがの器用さ。んで今回はそんな高野一郎とあらん左馬刻のバランスが作品としての出来に直結すると思うんですよね。一郎と左馬刻が同じパワーバランスでいなければ成り立たない。高野くんさまは正直改善すべきところがないので、あらんちゃんがどこまで引き上げられるかでだいぶ変わっていくでしょう。

とはいえ、当然2.5など初めてのあらんちゃんは、刀ミュという大舞台でオタクをかっさらってきた高野くんと同じ方法論を取れるはずもない。いわゆる「2.5でウケる役作り」をいまから身につけるのは土台無理な話なので、あらんちゃんはあらんちゃんなりの武器で左馬刻を高野一郎と対等に戦わなければならないわけですよ。それは何か。ヒントは今日の公演で見えた気がするんですよォ!!!!!本当最高だった、連番のヤクザと「それ!!!!!!!!!!!」って叫んだがな。

 これね。あの「一瞬の仕草で大勢のオタクが色めき立つ」って、たぶんジャニーズでアイドルやってきた人ならではの職能だと思うんですよね。練習して持ちうるものじゃないからこそ、あらんちゃんにはこの「ジャニーズ出身」というアドバンテージを左馬刻に注入していただきたい…「二次元の依り代になる」仕事は絶対に高野くんに敵わないので、阿部顕嵐と碧棺左馬刻のちょうどいいところをぜひ見つけていただきたい。そしたらきっと、ジャニーズ耐性のないオタクたちも一気に引き入れることができる。私はあらんちゃんの何なんだ。この先二週間?の間にきっと変わるであろうので、ライビュ観るの楽しみです。

あとあらんちゃんに関して言えば、シルエットに驚いた。やっぱジャニーズにいた人って華奢なんだなあ。ジャニーズっぽさって少年性と言い換えてもいいと思うのだけど、こういう場にぽっと放り込まれると際立ちますね。今回はそれが25歳の左馬刻にしては薄すぎ華奢すぎ少年っぽすぎでもったいなかったなー。2.5って顔以前にシルエットが大事だったりするから(なぜなら顔はなんぼでもメイクできるので)、もうちっと身体が厚かったら説得力あったんだろうなと。

私なんでこんなにあらんちゃんのことばっか考えてるんだろう…いやでも本当に、この作品がぐっと底上げされる要因があるとしたら、それはきっとあらん左馬刻の出来なんだろうと…思うわけですよ…ほかのキャラって正直どんなによくなっても作品自体を底上げするには至らないと思うから。現状、ステージにハマの3人しかいないと手に汗握っちゃうんだよw なんぼチャレンジングな舞台とはいえ「こいつがいればとりあえずは安心…!」みたいな人は必要。高野くん(と勇太)が今作でのそのポジションなので、ハマ3人だけになると一気に不安になるw 「全員が全員デキるヤツである必要はない」というのは2.5の長所だと思うから別にいいんだけど、あらんちゃんが「間」を握れるようになるだけでだーいーぶー安定するだろうなーとは思う。

物語とかそういうところに関してはよくわからん。なぜなら初見は18000円の元を取ることに必死になってしまうからです。まあ原作もふわっとしてるし、このくらいでも「ヒプマイ感」は担保できているのではないでしょうか…わかんないけど…そんで原作があんな感じだからこそ、細々したエピソードをパフォーマンスでつなぎ合わせる構成は間違いではなかったんだろうな。がっつりした演劇にするなら、それこそ刀ステ・刀ミュレベルに脚本作り込まなきゃ成立しないのでは。原作好きで2.5に拒絶感がなく、「18000円は高いけど、意外とおもしろかったりするかもな〜」くらいなら全然楽しめるんじゃないかな…いやわからんな…18000円だもんな…

結論としてはやっぱり「12000円くらいなら大絶賛で終われる」みたいなさ…また金の話すんのかって?するよ!!!!だってヒプステの根幹にあるのはどう考えても選択肢のない18000円だろうがよ!!!!案の定空席チラホラあって、ザマァ!!!!!!!!!!って気持ちになってしまいました。私も言うて18000円払ってんだけどさ。何がムカつくって「いまいちばん勢いのあるコンテンツだし、18000円でも応募殺到っしょ〜(鼻ホジ)」みたいなナメた態度がムカつくんだよな…私たちにも選択肢があり、生活があり、予定があるということを考慮していないその態度よ…「値決め会議のときに全員泥酔してた」とかじゃないと納得できない…

ぶっちゃけついてくるグッズもいらんもんばっかで、これが「パンフレット・リングライト付き18000円」だったらこんなにムカついてないと思うわけ。グッズいらんがパンフだけ欲しい人多いだろうし(私だ)、リングライトは作中でつけてね〜って言われるから。需要や必要性でいうとだいぶ上位に入るこれらが入ってないことで「18000円払わせたうえに買わせるのか??????????」みたいな怒りが芽生えてしまうんだよね…トレブロをひとりで何千円分も買うのとはわけが違う。やっぱり選択肢を奪われたうえで強要されてる感がムカつきの源泉だろうなあ。シブジュク公演はまた舌打ちしながら18000円のチケット買う、それはもう怒りエンタメの一環として許容するから、これ以上こんな愚策が広がりませんようにと願うのみです。

 

【追記】

ここまで言っておいて、自分でモチベーションを上げすぎてチケットを増やしました。その軌跡をどうぞ。我ながら楽しみ上手すぎるだろう。リセールで無事にチケット買えて、席番見たら初見とほとんど変わらなくてキレたね!!!!!!5番だけセンターに寄ったけれども!!!!!クソがーーー!!!(怒りのエンタメ化)

 

舞台『刀剣乱舞』悲伝 結いの目の不如帰@明治座

※死ぬほどネタバレをしています!!!!!!!!!※

www.marv.jp

み、観てきた。『刀ステ』シリーズの集大成とたびたび称されてきた『悲伝』、情報量がとにかくものすごい……これはもう絶対に予習(復習か)必須。いちおう全作観てはいるけれど、回数を重ねてきたわけじゃないから絶対直近で全部さらって観たほうがよかったなーーーという後悔がありました。

あと私はめちゃくちゃSFへの理解が浅い。「もしそうだったら」という世界構造、「いま、私がいるここ」とは世界線が違う世界への理解がなかなか難しくて、それはいままでファンタジーとかSFっぽいものに全然触れてこなかったからなんだよなあ。長編ドラえもんから始めるしかないのか……!

ちなみに私が知ってる「この手のフィクション」はハルヒエンドレスエイトうる星やつらビューティフルドリーマーくらいです。たぶん類似のフィクションは山ほどあるのだろう(それこそドラえもんとか)、でも私は全然それを知らないんだよなあ…というのがけっこうコンプレックスだったりする。

というわけで、事象をつなぎ合わせて組み立てる『刀ステ』の世界構造そのものへの理解はあまりできないまま、ただ情緒で観た感想を残しておく。そのへんの解釈・理解はその筋の考察班にお任せします!!!

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『悲伝』でキモとなるのは「三日月はいったい何を守ろうとしてきたか」。刀剣男士たちの守らなければいけないものが「(西暦2205年から翻った)歴史を守ること」だとすると、三日月の守りたかったものは、それよりもう少し卑近な「本丸の歴史」なのかな?と思ったのでした。

鵺ちゃん(時鳥)との会話でも言われていた通り、無限とも思える戦いのなかで結局歴史改変は行われていない=時間遡行軍の戦いは無駄なのでは?→それを阻止しようとする刀剣男士の戦いも無駄なのでは?(時間遡行軍がどんなに頑張っても歴史が変わらないなら、刀剣男士たちが戦う必要はないのでは?)という疑問が三日月のなかに生まれてしまったけれど、もしそれが本当だったら刀剣男士の戦いってめっちゃつらいと思うのです。彼らには心があるから。モノだったら「戦うために戦う」のが当然、でも心があれば「それって徒労じゃないの?」ということにも気づいてしまうだろうし、その猜疑心を抱えたまま戦うことは、それこそ「心が折れる」ことなのではないかな。

一方、不動くんや長谷部は、(たとえ大きな意味では徒労だとしても)戦う意味を見出した。修行を経て、「主を守る」という目的を見出せた。『悲伝』の彼らに迷いがないのは、「歴史を守る戦いって何だ?」という根本的な問いを上回る、自分だけの「答え」を見つけたからなのだろうなと思う。三日月はそれをみんなに見つけてほしかったんじゃないかなあ。

歴史の「結いの目」となってしまった三日月は、自身が本丸にいるというそれ自体で刀剣男士たちの戦いを無限化し、徒労化し、ゆくゆくは本丸自体を破滅に追いやってしまう。「終わりなき円環」のなかで、自身を留めたまま破滅という結末を阻止しようとしたことは何度もあったはず。でもやっぱり、人間たちの歴史が変わらなかったように、「三日月がいることで本丸が破滅する」という歴史も変わらなかったのだろう。それってあまりにも皮肉で残酷だ。そしていよいよ最後の手段として、三日月は「自分がいることで破滅する」→「自分が消えれば存続する」という選択肢を取ることになる。めっちゃ切ない。三日月宗近って何なんだ。『刀ステ』本丸にとっての三日月宗近はいったい何者なんだ……ただ美しいだけって……どう考えてもそれだけじゃねえだろ!!!

言うたら「俺が犠牲になればみんなを守れる」みたいなやつだよね。みんなはそれを望まなかったけど(「俺たちにできることはなかったのか?」)、でもそうするしかなかった。歴史は変えられないから。いやこの結論……普通かよ。でも『刀剣乱舞』という世界の仕組み的にはメッチャ根本的な話なのだ。無数にある本丸、けれどいまのところ、そのどれでも「時間遡行軍によって歴史が変えられてしまう」結末はない。まさしくない。だってあのゲームにバッドエンドはないから。撤退、敗北はあっても私たちは「歴史が実際変わった」ところを誰ひとりとして見ていない。こういう、何気ないゲームシステムを物語に落とし込めているのがスゲーーーーーな!!!と思った『刀ステ』だった……。『虚伝』のときにも思ったけど。まあ確かにレベリング周回とかしてるとすげえ虚無じゃん?そういう「何度も何度も同じ合戦場に出陣する」みたいなメタなところを、きっちり物語のなかに取り込んでいたのが本当にスゲェなぁおもしろいなぁと思ったのでした。

あの三日月さんが特異点(最近FGO始めました)であることはわかるんだけど、じゃあほかの本丸の三日月も同じ性質を持っているのか、あの個体の三日月宗近がたまたまそういう体質だったのか、またはこの本丸に顕現してしまう三日月宗近はみんな特異点になりうるのか、そこの解釈でラストシーンが希望にも絶望にもなるんだなァ。当然これは解決させることのない疑問なんだけど……。だってもし最後に顕現した三日月も「結いの目」であるとしたら、また同じことが繰り返されるのか……って絶望するじゃん? まあみんな三日月の記憶はあるみたいだから、今度こそみんな真の意味で強くなって阻止できるのかもしれないけど……でもなーー。あの最後の顕現がいったいどこの時間軸での顕現なのかわからないと、一概に希望とは言えない感があるよね……。

まあ結論としてはあの三日月宗近ってマジで何だったんだよ!!!!切ねぇな!!!!ってところと、「時間遡行軍の戦いも刀剣男士の戦いも無駄(かもしれない)」って世界の根底を覆しかねないクソ剣呑な気づきだなってところです!私はパンドラの箱をひっくり返したようなアッパーな地獄、アッパーな破滅が大好きなのだが、そういう意味で「全部無駄!!!!」っていう可能性がチラ見せされて興奮しましたね。「刀剣男士…みんな幸せになってくれ…」みたいな気持ちとは全然別のレイヤーで興奮しましたね。

うーん、やっぱりハラオチが足りない感じ。でもライブビューイングが遠い!!!!!7月末って!!!!!長期公演!!!!!!!キャストの皆さん、こんなハイカロリーな作品で長期公演めっちゃ大変だと思うけどマジで身体に気を付けて頑張ってな……!!!!以下、アホっぽい感想。

  • 今回の伏兵は完全に光忠。おっおまえ……『義伝』の伏線いま回収すんの!?!?!?!?!?!みたいな。正直ボロボロの光忠にはめちゃくちゃ興奮しました。「この戦いを終わらせるために強くならなきゃ」って、前述の「戦う意味」の揺らぎからしたらすごいセリフだ。
  • 当方長谷部推しですが、長谷部推しのクライマックスはやっぱ『ジョ伝』だったなと。死ぬほど泣いたね。極の甲冑と剣がダs…くてちょっと正気に戻ってしまったんだけど、「恨みはないが……死ね」は興奮しました。絶対殺すマンモードの長谷部が好き。
  • 大般若さんはBプロに出ていた子です!!!!!!!完璧!!!!!脚が長ぇし顔が似てるし声がミキシン。川上くん売れてくれ。
  • 前山先生の鶯丸は、我ら『あんステ』勢が前山先生の英智さんを見慣れすぎているのか、はたまた前山先生の英智さんがハマり役すぎたのか、だいたい英智さんだな?という瞬間が多々。でも鶯丸としては間違ってはない感じ。前山先生、セリフ回しがちょっと独特だよね。「、」の位置が独特。
  • オーカネヒラは、元気なバカが宇宙を救うって感じでよかったですねw演技や殺陣はその……あの手慣れのキャストのなかにいると「……がんばれ!!!」って感じだけど、技巧よりもまっすぐさが出ていてとてもキュート。中の人の加藤くんが推せる気しかしない。
  • まんばちゃんが歴史の渦にとらわれるところで、弁慶と義経とか新撰組とか、いままで『刀ステ』の出てきてない刀剣男士たちの存在を匂わせてくるところがうまいなーーーと思った。『刀剣乱舞』という世界そのものに思いを馳せるくだりでしたな。まんばちゃん、真剣必殺になった途端フードが取れて顔がめちゃかわいいから驚く。
  • 内番でまさかのマグロミュージカル。あの頃はまだその後光忠があんなことになるとは思いもしないのであった……。それにしても歌仙ちゃんの割烹着がかわいいし、光忠&大般若という長船派スーパーモデル体系の若者と同じシーンにいる歌仙ちゃんが昭和体型で愛おしい。そしてわだっくまはめちゃくちゃ顔がいい。

まだなんか書きたいことあった気もするけどタイムオーバー。気が向いたら追記します。

江戸は燃えているか@新橋演舞場

www.parco-play.com

※ラストシーンのネタバレをカジュアルに含みます!

急きょお誘いいただいて東銀座へ。全然関係ないけど寒すぎて引く。日本、快適な時期短すぎじゃないです?コートが全然しまえなくて困る。

で、『江戸は燃えているか』です。おもしろいって評判は聞いていたので行くきっかけができてよかった。三谷幸喜の舞台はなんとしんつよ『burst!~危険なふたり』以来2回目。『burst!』がかなり不条理というか、明るいコメディからどんどん雲行きが怪しくなっていって最後の最後でふっと底なしの穴に落とされる……みたいな作品で、あれは三谷作品のなかでも異色作だったんだろうな~と気軽な気持ちで行ったら痛い目を見ましたね!!
だって昨日の夜、なんとなく見た公式サイトの紹介文これよ?

出演は、三谷作品は大河ドラマ新選組』以来となる中村獅童、舞台『ロスト・イン・ヨンカーズ』(2013年10月)で三谷演出初参加の松岡昌宏は、三谷書き下ろし作品への出演は初となります。そして、昨年の大河ドラマ真田丸』に出演した松岡茉優藤本隆宏八木亜希子、初の三谷作品となる田中圭、高田聖子、磯山さやか飯尾和樹妃海風等バラエティに富んだ豪華キャストの面々が揃いました。

歴史をつくった偉い人たちと歴史に名を残さなかった庶民たちの可笑しくも愛おしい、江戸無血開城をめぐる群像喜劇を三谷幸喜が書き下ろす最新作、「江戸は燃えているか」、乞うご期待ください!
2018年3月、新橋演舞場史上、最も笑えるコメディが開幕します!

 

三谷幸喜コメント
ただただ笑える喜劇が観たい!難しい話は一切なしで、老若男女が心の底から(ああ楽しかった)と思える作品。ありそうでないんです、そういう舞台。だから自分で作ることにしました。題材は歴史に名高い「江戸城明け渡し」。主人公は、大河ドラマには絶対出て来ない、なっさけない勝海舟新橋演舞場史上、最高に笑える作品になるはず。どうぞお楽しみに。もちろん西郷どんも出ます。

いやジャンルは何かと言われれば間違いなくコメディ、確かに「新橋演舞場史上もっとも笑えるコメディ」「ただただ笑える喜劇」なのかもしれないけど!このテキスト読まずに行ってたらもうちょっと違う感想になったかもしれないんですけど!w

あらすじは、おそらく三谷作品の定番であろう「間違いの喜劇」。江戸城無血開城に向けて勝海舟西郷隆盛が会談をしようというところ、西郷と会うのは嫌だとゴネる勝海舟中村獅童)の代わりに庭師の平次(松兄ィ)を代役にして乗り切ろう!という、ウソから始まるドタバタコメディですね。
なんだけどこの作品、「これにて一件落着!」(という台詞が実際にある)のあと、最後の3分で「え!」っていうシーンが挟まって「え、え、えーーー!?」という感じで終わる(なんやかんやあって、無事代役を終えて?お駄賃をもらった平次が、痴情のもつれで刺され、身体を引きずりながら退場してEND)。「これにて一件落着!」で終わってたら純度の高いコメディなのになぜ刺したし!?っていうさ!!(笑) 言うたら97%は完全にコメディなのに、最後の3%で妙な後味の悪さが残るんですね。でも相対的に見たら97%はコメディだから、確かにひとことで表現するとちゃんと喜劇……み、三谷ーーー!!
舞台の三谷作品をあまり観たことがないけれど、この手の「ちょっとだけ喉に骨が刺さったような後味の悪さを残す」のが三谷さんの定番なのかなあ。それは予定調和へのちょっとした反抗だと言えるかもしれない。なんやかんやあったけどみんな幸せに暮らしました、が嫌いな人なのかもしれないなと思いました。テレビやらエッセーやらでひねくれ者なんだろうなというのはわかるのでwその点すごく腑に落ちる。誰もがすっきりするハッピーエンドなどない。確かにそうなんだろう……でも2.5次元の超予定調和に飼いならされてしまったハピエン好きの私としては「ハピエンで終わらせてよ!!!!!」という気持ちが強くあるw
2回3回観たら、この微妙~~~で微細な不条理への伏線も張られているのかもしれないな(というかまぁ、刺される理由そのものは1回観ただけでも全然理解できるんだけど)。いやこの手の裏切られ方って別に嫌いではないんだけど、やっぱ「ただただ笑える喜劇」かと言われると看板に偽りありだと思うわw それでも「おもしろかった」とキッパリ断言できるのがすごいところでもあるし。
オチ以外のところで言うと、キャラクターをあれだけ配置しながらドンズバで全員をきれいに動かして物語を練る、っていう構成がも~~~~~恐ろしいほどうまい。「何が起きるか」というより「誰が何をするか」が何重にも何重にも積み重なって物語になっている感じ。そしてそんなに熱心に三谷作品を見たことがない(テレビでもね)私でも、ちゃんと「ああ三谷作品の笑いだな」と実感できるテンポなのがすごい。今日もどっかんどっかんウケてたし実際私もめっちゃ笑った。獅童さんの冴えわたるアドリブが続いたあとにピンと張りつめたシーンになる、その切り替えもウワーッ芸達者なプロがつくるお芝居だー!という感じで感動。間とかテンポに個性がある舞台作品って本当におもしろいし本当にすごいよね。私はたくさんの登場人物がキチンと動いている群像劇が好きなのでたまらないものがありました。
役者さんで言うと松兄ィ~~めっちゃかっこいー!粋な江戸っ子似合いすぎ。三谷さんやっぱり宛て書きの天才なんだな……と感動するキャラクター。中村獅童さんも、登場した瞬間のキリッとその場の空気が引き締まるようなオーラがありますね。歌舞伎のトップスター、やっぱり瞬間瞬間のキマり方がすさまじい。女性陣もみんな気が強かったりチャキチャキしててかわいらしかった。高田聖子さん……好きです。新橋演舞場っつーことで「万屋!」「TOKIO!」の大向うが聞けたのも楽しかったな。あのシーンでかよ!というツッコミどころはありつつもw あ、田中圭くんも超かわいかったです。三谷作品はキャラクターがキレるシーンがとてもチャーミングだし、人間の俗っぽいところが表れてておもしろいと思う。
まーともかくドラマや映画で見る三谷作品と舞台の三谷作品はスパイスの効き具合に差があるように思えて、三谷担の間では「俺は舞台の三谷しか認めん」過激派とかいるのかな……とどうでもいいことを考えてしまった。なんせ私の三谷作品の記憶は大概がSMAP関連ゆえ、演劇畑の識者のご意見も聞きたいところです。なんやかんや言ったけどそれなりに予防線を張った状態で観る不条理は好きなほうなので、今度はもうちょっと構えて三谷作品観てみたい。

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追記。

平次がその後どうなったかは描かれない。けろっと傷を治してお伊勢参りに行ってほしい気持ちが強いものの、あえてあんな終盤で刺されたからにはころっと死んでしまうような気が…するんだよなあ…。

そんな平次は「江戸城無血開城という快挙の裏で流され忘れられてしまった不運な庶民」の象徴とも言えるし、「あの西郷隆盛に無礼を働いても打ち首を免れたのに、女のひと刺しで命を落としてしまった」ようにも見える。いずれにしろ皮肉が効いている、このシニカルさが三谷作品の肝なのかもしれませんな。Twitterでは「むしろ三谷作品ではここまでコメディに振った作品は珍しい」と教えていただいて納得。ならば確かにひたすら楽しい喜劇と言い切れるのであろう。完全にドラマの作風の先入観が……って、確かに古畑任三郎vsSMAPのラストも「う、うわ……」ってなるな!なるほどシニカルが作風!

全然関係ないけど、『burst!』のときのツイートも貼っておきます。